FPVマイクロドローン完全ガイド|100g以下の特徴・法規制・始め方まで解説
ドローン市場が拡大する中、一般的な空撮用ドローンとは一線を画す存在として注目を集めているのが「FPVマイクロドローン」です。
「まるで鳥になったような視界」「狭い場所でも自由自在」といった謳い文句で語られますが、実際に導入するには一般的なドローン(DJI製など)とは異なる知識や準備が必要です。特に日本国内においては、航空法や電波法といった法規制の理解が不可欠です。
本記事では、FPVマイクロドローンの基礎知識から、導入のメリット・デメリット、具体的な法規制、そして運用にかかるリアルな費用感まで、実運用視点に基づいて解説します。
目次
- FPVマイクロドローンとは?基礎知識と仕組み
- FPV(First Person View)の定義
- 「マイクロドローン」のサイズ定義と分類
- FPVマイクロドローンの3つの大きなメリット
- ① 航空法規制の対象外となる「100g未満」の恩恵
- ② GPSに頼らない機動性と屋内撮影
- ③ 臨場感あふれる「没入型」フライト体験
- 導入前に知っておくべきデメリットと「運用のリアル」
- 操縦難易度:オートパイロット不在の現実
- 維持管理:頻繁な修理とメンテナンス
- バッテリー駆動時間:約3分〜5分の短期決戦
- 日本国内での運用に必要な「法律と資格」
- 航空法と小型無人機等飛行禁止法
- 必須となる「アマチュア無線免許」と「開局申請」
- 必要な機材と初期費用の目安
- FPVゴーグル、プロポ、機体の選び方
- トータルでかかる初期費用は約いくらか?
- FPVマイクロドローンの始め方 3ステップ
- まとめ:新しい映像表現への入り口
FPVマイクロドローンとは?基礎知識と仕組み

FPV(First Person View)の定義
FPVとは、First Person View(一人称視点)の略称です。
操縦者は、機体に搭載された小型カメラの映像を「FPVゴーグル」を通してリアルタイムに見ながら操縦します。スマートフォンやタブレットの画面を見て飛ばす一般的なドローンとは異なり、視界のすべてがドローンからの映像になるため、コックピットに搭乗しているかのような感覚で操縦できるのが最大の特徴です。
「マイクロドローン」のサイズ定義と分類
明確な定義はありませんが、一般的に以下のスペックを持つ機体が「マイクロドローン(またはTiny Whoop)」と呼ばれます。
- 重量: バッテリーを含めて約100g未満(多くは30g〜50g程度)。
- サイズ: 手のひらに収まるサイズ(プロペラ軸間距離が約65mm〜75mm)。
- 構造: プロペラが「ダクト」と呼ばれるガードで覆われており、衝突時の安全性が高い。
この「軽さ」と「安全性」が、屋内や人の近くでの飛行を可能にしています。

FPVマイクロドローンの3つの大きなメリット
一般的な空撮ドローンと比較した際、FPVマイクロドローンが選ばれる理由は主に以下の3点に集約されます。
① 航空法規制の対象外となる「100g未満」の恩恵
2022年6月の航空法改正により、無人航空機の登録義務化の対象が「100g以上」となりました。
しかし、多くのマイクロドローンは重量が約100g未満であるため、航空法上の「無人航空機」ではなく「模型航空機」に分類されます。
- 無人航空機(100g以上): 空港周辺、人口集中地区(DID)、高度150m以上などの飛行禁止空域があり、飛行ごとに許可承認申請が必要な場合が多い。
- 模型航空機(100g未満): 空港周辺や一定の高度制限などを除き、一般的な航空法の飛行禁止エリア規制(DID地区など)が適用されません。
これにより、屋内や許可を得た私有地などで、比較的自由に練習や撮影を行うことが可能です。
(※ただし、重要施設周辺などを規制する「小型無人機等飛行禁止法」や、自治体の条例、民法などは遵守する必要があります。)
② GPSに頼らない圧倒的な機動性と屋内撮影
DJI Mavicなどの空撮機はGPSや障害物センサーで姿勢を制御し、「空中で静止する」ことが得意です。
一方、FPVマイクロドローンは基本的にマニュアル操作(アクロモード等)で飛行します。センサーによる自動制御が介入しないため、以下のような飛行が可能です。
- 狭い配管や本棚の間を通り抜ける。
- 急降下や宙返りなどのアクロバティックな動き。
- 被写体(人物や車)に極限まで接近した撮影。
特に、プロペラガードが付いているため、壁に接触しても墜落せずそのまま飛び続けられる点は、屋内撮影において最強のメリットとなります。
③ 臨場感あふれる「没入型」フライト体験
映像制作のツールとしてだけでなく、ホビーとしての魅力も強力です。
ゴーグル越しの映像は遅延が極めて少なく(数ミリ秒〜数十ミリ秒程度)、自分の体の動きとドローンの動きがリンクする感覚(人機一体感)は、他のラジコンにはない体験です。これを求めてFPVを始めるユーザーも約半数以上を占めると言われています。
導入前に知っておくべきデメリットと「運用のリアル」
メリットばかりではありません。FPVマイクロドローンは「家電」というよりは「競技用機材」に近く、運用には一定のハードルがあります。
操縦難易度:オートパイロット不在の現実
GPS搭載機は「スティックを離せばその場で止まる」のが普通ですが、FPVドローンの多くは「スティックを離すと、慣性でそのまま飛んでいく(または落ちる)」挙動をします。
水平維持機能(アングルモード)もありますが、FPV本来の動きをするには完全手動(アクロモード)の習得が必須です。
初心者がシミュレーターでの練習なしに飛ばすと、開始約数秒で墜落すると言っても過言ではありません。実機を飛ばす前に、PC上のシミュレーターで約10時間〜20時間程度の練習が推奨されています。
維持管理:頻繁な修理とメンテナンス
マイクロドローンは軽量ですが、スピードも出やすく壁や床に衝突することを前提としています。
- プロペラの破損・紛失
- モーターの断線
- フレームの割れ
- カメラの故障
これらは日常茶飯事です。メーカー修理に出すのではなく、ユーザー自身がハンダごてを使ってパーツを交換・修理するのが一般的です。電子工作の知識がゼロの場合、最初は修理に時間がかかることを覚悟しておく必要があります。

バッテリー駆動時間:約3分〜5分の短期決戦
超小型・軽量化を優先しているため、搭載できるバッテリーも極小です。
1回の飛行時間は約3分〜5分程度です。長時間の空撮には向きません。そのため、現場にはバッテリーを約10本〜20本持ち込み、次々と交換しながら運用するスタイルが基本となります。
日本国内での運用に必要な「法律と資格」
ここが最も重要かつ複雑な部分です。FPVドローンを日本で合法的に楽しむには、以下の2つの法律をクリアする必要があります。
1. 航空法(100g未満の理解)
前述の通り、重量が100g未満であれば「模型航空機」扱いとなり、飛行申請や機体登録(リモートID等)は原則不要です。
ただし、バッテリーを大容量化したり、アクションカメラ(GoPro等)を追加搭載して総重量が100gを超えた瞬間に「無人航空機」となり、航空法の全規制が適用されるため厳重な注意が必要です。
2. 電波法(無線免許と開局申請)
FPVドローンは、映像をゴーグルに送るために「5.8GHz帯」のアナログ電波を使用するのが一般的です。
この周波数帯は、日本では「アマチュア無線」または「業務用無線(第三級陸上特殊無線技士以上)」の資格がないと使用できません。
【趣味で飛ばす場合に必要な手続き】
- 資格取得: 「第四級アマチュア無線技士」以上の資格を取得する(国家試験または講習会)。
- 機材選定: 日本の技適マークがある、もしくは保証認定が可能な送信機(VTX)を選ぶ。
- 開局申請: 総務省へアマチュア無線の「開局申請」を行い、コールサインを取得する。
- VTXの系統図提出: 多くの場合、海外製ドローンはそのままでは使えず、JARDやTSSといった保証機関を通じて保証認定を受ける必要があります。
この「電波の手続き」には、資格取得から開局まで約1ヶ月〜2ヶ月程度の期間を要します。「買ってすぐ飛ばす」ことは法律上できない点を理解しておきましょう。
必要な機材と初期費用の目安
FPVを始めるために必要な「三種の神器」と、その費用感(概算)を紹介します。
1. FPVゴーグル
映像を受信するための装置です。
- アナログ方式: エントリーモデルで約1万円〜、ハイエンドで約6万円〜。遅延が少なく安価だが画質は粗い。
- デジタル方式(DJI AIR UNIT等): 約7万円〜10万円。高画質だが高価で、機体側の重量も増えるため100g以下に収めるのが難しい場合がある。

2. プロポ(送信機)
ドローンを操作するコントローラーです。
- 価格帯: 約1万円〜4万円程度。主流はRadioMaster TX16S始めのプロポとしてはおすすめ
- 通信プロトコル: 最近は「ELRS」という規格が主流になりつつあります。PCシミュレーターにも接続できるモデル(USB接続対応)を選ぶのが鉄則です。

3. ドローン本体(機体)
- 完成機(BNF/RTF): 約1万5,000円〜3万円程度。
- バッテリー・充電器: 約5,000円〜1万円程度。

トータル初期費用
すべて新品の既製品で揃える場合、エントリークラスで約5万円〜8万円程度、ミドル〜ハイエンドクラスで約10万円〜15万円程度が相場です。
既存のカメラ用ドローンと比較すると機体単価は安いですが、ゴーグルや無線免許費用を含めると、ある程度の初期投資は必要になります。
比較的リーズナブルな価格帯本格的なFPVドローンに比べて、マイクロドローンは比較的安価で始められるのも魅力です。ただ既製品のDJIドローンに比べて壊れやすく業務で使用する場合は修理も含めて約3倍以上はかかるでしょう


FPVマイクロドローンの始め方 3ステップ
推奨ルートは以下の通りです。
STEP 1:プロポを購入し、PCシミュレーターで練習
まずは機体を買わず、「プロポ(コントローラー)」だけを購入します。
PC用シミュレーター(Velocidrone, Liftoffなど / 約2,000円〜3,000円)をインストールし、毎日30分程度練習します。「思った通りに飛ばせる」ようになるまで、実機購入は待ちましょう。
STEP 2:第三級陸上特殊無線技士の取得と申請
練習と並行して、第三級陸上特殊無線技士の資格を取得します。その後、開局申請を行います。
STEP 3:機体購入とバインド設定
許可が下りたら、ようやく機体を購入します。
機体とプロポ、ゴーグルを無線接続(バインド)し、PCの設定ソフト(Betaflightなど)で調整を行えば、いよいよ初フライトです。
新しい映像表現への入り口
FPVマイクロドローンは、単に「小さいドローン」というだけではなく、操縦者の技術と知識が試される奥深いジャンルです。
- 100g以下のメリット: 法規制のハードルが低く、練習場所を確保しやすい。
- 映像の可能性: 屋内や狭所を抜け、ダイナミックな構図を作れる。
- 運用の現実: 無線免許が必須であり、修理スキルも求められる。
導入のハードルは決して低くありませんが、それを乗り越えた先には、重力から解放されたような自由な視点と、他の機材では絶対に撮れない映像世界が待っています。まずは「シミュレーター」と「無線免許」から、この世界への一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。
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