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海上×FPVドローン撮影の完全ガイド|船舶・マリンスポーツを成功させる安全設計と運用

海上×FPVドローン撮影の完全ガイド|船舶・マリンスポーツを成功させる安全設計と運用 Blog

海上×FPVドローン撮影の完全ガイド|船舶・マリンスポーツを成功させる安全設計と運用

企業のプロモーションビデオや観光PRにおいて、海上や船舶を舞台にした映像の需要が増加しています。FPVドローン(一人称視点ドローン)を用いた撮影は、波を切り裂く疾走感や船内と船外をシームレスに行き来する没入感を映像化できます。

 

ただし、海上での撮影は陸上とは異なる高度な技術とリスク管理が求められます。本記事では、DRONEUNCHARTEDが実際の撮影現場で蓄積した知見をもとに、企業担当者様が知っておくべき海上撮影の実務をお伝えします。

 

ボートを追走する

 

なぜ海上撮影は難易度が高いのか:3つの技術的課題

美しい映像の背後には、常に墜落のリスクが存在します。海での撮影が困難とされる物理的・技術的な理由を理解することが、安全な撮影計画の出発点です。

 

センサー類の誤作動

一般的なドローンは、下方のビジョンセンサーで地面の模様を認識し位置を安定させます。しかし海面は波で常に動き、光の反射も不規則です。これによりセンサーが誤認識を起こし、ドローンが自動で高度を下げて水没する事故が発生します。

 

FPVドローンはマニュアル操作が基本のためセンサー依存度は低いものの、高度維持はパイロットの感覚と技術に委ねられます。

 

ドローン下部にビジョンセンサーが付いている
一般的なドローンには下部にビジョンセンサーが付いている

 

電波干渉とマルチパス現象

海面は電波を強く反射します。操縦機からの電波と海面反射波が干渉し合う「マルチパス」現象により、映像の遅延や制御不能のリスクが陸上より高まります。

 

電波の使用イメージ
FPVドローンのアンテナ

 

塩害による腐食リスク

直接水に触れなくても、海上の空気には塩分が含まれています。モーター内部や電子基板に微細な塩分が付着すると、撮影中または撮影後に予期せぬショートを引き起こす可能性があります。

 

海上撮影で実現できる映像表現

リスクを乗り越えた先には、他では得られない映像表現があります。FPVドローンだからこそ可能なショットをご紹介します。

 

並走・追走ショット(チェイス)

クルーザーやジェットスキー、ヨットが波を切って進む様子を至近距離から追いかけます。時速100km近いレースボートにも同調し、水しぶきがかかる距離感で迫力ある映像を捉えることが可能です。

 

ギャップ・ダイブ

船のマストとマストの間や、船橋の狭い隙間を通り抜ける撮影技法です。巨大な構造物のスケール感を強調する際に効果的な手法となります。

 

シームレスな船内ツアー

デッキから船内に入り、客室や操縦席を紹介して再び海へ抜けるワンカット撮影です。視聴者はその場を飛び回っているような体験ができ、船舶の内覧PRに適した映像表現となります。

 

 

機材の安全対策:塩害・水没への備え

海上撮影を成功させるには、機材と運用の両面で徹底した対策が必要です。

 

防水・防湿コーティングの実施

使用する機体の電子基板すべてに専用の絶縁コーティング剤を塗布します。水しぶきや高湿度の環境下でも、ショートによる墜落リスクを抑える処置です。

 

冗長性の確保

海上では「墜落=機体ロスト(紛失)」を意味し、SDカードのデータも回収できません。重要なカットは必ず複数テイクを重ね、機体がロストした場合でも撮影を続行できるよう、同スペックの予備機を複数台準備します。

 

フライトプランの事前共有

船長や操縦士との綿密な打ち合わせが不可欠です。船の旋回方向、波の高さによる船体の揺れを事前に共有し、ドローンの飛行ルートと船の動きが交錯しないよう設計します。

 

船上での運用:揺れる環境での離発着

海上撮影において最も技術を要するのが、揺れる船上からの離陸と着陸です。

 

ハンドキャッチ&ハンドリリース

船上のスペースは限られ、常に揺れています。地面に置いての離陸は困難なため、補助員(アシスタント)が手持ちでリリースし、着陸時も空中でキャッチする方法を採用します。パイロットと補助員の高度な連携が求められます。

 

ホームポイントの管理

GPS搭載機は離陸地点(ホームポイント)を記憶しますが、船は移動しています。自動帰還モード(RTH)が作動すると、離陸した「海上の何もない座標」に戻ろうとして水没する事故が発生します。動的ホームポイントの設定や、完全マニュアル操作による帰還を実施します。

 

撮影前の確認事項と許可申請

海上撮影を依頼する前に、以下の項目を確認することでスムーズな進行が可能になります。

 

管轄の確認

撮影場所が港則法適用の港内か、一般海上かで申請先が異なります。

  • 港内:港長(海上保安部)への許可申請が必要
  • 一般海域:法令上の禁止区域でなくても、海上保安部への情報提供や地元漁業協同組合への事前調整がトラブル防止に必須

 

損害賠償保険の適用範囲

一般的なドローン保険では、海上での運用やボートからの離発着が免責事項(補償対象外)になっているケースがあります。海上撮影もカバーする包括的な賠償責任保険への加入が必要です。

 

費用の構成要素:見積もりのポイント

海上撮影の費用は、陸上撮影より高額になる傾向があります。その理由は「リスク係数」と「体制」にあります。

 

主な費用項目

  • 機材リスク費:水没による全損リスクを考慮した係数
  • 人員体制:パイロット、安全監視員(スポッター)、船上での離発着補助アシスタントの2〜3名体制が基本
  • 船舶チャーター費:ドローン操縦用の並走船が必要な場合の手配費用

費用の目安は案件規模により異なりますが、安全管理費を含めて約15万円〜(船舶手配費別)からのご相談が多いです。正確な金額は撮影対象や拘束時間によって変動します。

 

編集工程:海の映像特有の処理

撮影後のポストプロダクション工程でも、海特有の調整が必要です。

グレーディング(色補正)

海の色は天候や太陽の角度で大きく変わります。青を美しく見せつつ船体の白飛びを抑えるため、ダイナミックレンジの広いカメラ設定で撮影し、編集で鮮やかなトーンに仕上げます。

 

音響デザイン(サウンドデザイン)

ドローンのプロペラ音はノイズになるためカットし、代わりに波の音、風の音、エンジンの音などの効果音(SE)を映像に合わせて再構築します。これにより映像の臨場感が向上します。

 

実際の編集画面
実際の編集画面

 

実際の撮影事例:釣り船のプロモーション映像

DRONEUNCHARTEDが手掛けた海上撮影の事例をご紹介します。

 

案件の背景

ウェブサイトリニューアルに合わせ、静止画では伝わらない船の動きとフィッシングシーンを伝えたいとのご相談をいただきました。

撮影条件

  • 風速約5m/s、波高約1.5mのやや荒れたコンディション
  • 釣竿の間を通すワンカット撮影の希望 

 

アプローチ

風に強い5インチサイズのFPVドローンを選定し、GoProなどのアクションカメラを防振マウント経由で搭載しました。船の進行方向に対して向かい風になるタイミングを調整し、機体の安定性を確保しました。

 

撮影結果

海面すれすれを飛行し、水しぶきを浴びながらデッキへ上昇、そのまま船内を通過して後方へ飛び去るダイナミックなカットの撮影に成功しました。クライアント様からは「まるで映画のワンシーンのようだ」と評価をいただき、ウェブサイトのトップ動画として採用されました。

▼ 海上撮影事例を見る

 

海上・船舶の撮影ならDRONEUNCHARTEDへ

海上でのドローン撮影は、美しい映像と引き換えに高いリスクを伴います。海を知り尽くしたプロフェッショナルへの依頼が不可欠です。

DRONEUNCHARTEDでは、国土交通省への許可承認はもちろん、独自の安全マニュアルに基づいた運用を行っています。

 

このようなご要望にお応えします

  • 所有する船舶やヨットのPVを作りたい
  • マリンスポーツ大会の記録映像を残したい
  • 海越しの施設外観をダイナミックに撮りたい

 

計画段階からご相談いただくことで、風や波のリスク管理も含めた最適な撮影プランをご提案いたします。

 

▼ 海上撮影について相談する(見積もり無料)

 

具体的なお悩みの方はご相談ください

海というコントロールできない大自然を相手にする撮影では、事前の準備と瞬時の判断力が映像のクオリティを左右します。「海でドローンを落とさないか不安」「船を並走させて撮りたい」といった具体的なお悩みをお持ちの担当者様は、ぜひ一度お声がけください。安全を最優先に、想像を超える映像をお届けします。

  

この記事を書いた人
yusei kobayashi

FPVドローンを用いたマイクロドローン撮影から、映画・CMクラスの空撮まで幅広く対応。
特に技術的難易度の高い(海上、屋内、夜間)での撮影やカスタマイズした照明を積んだドローンでの撮影を得意としています。

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