不動産・建築のドローン撮影完全ガイド マンション内覧からPR動画制作まで、失敗しない「見せ方」の型
マンション内覧が変わる。FPVドローン撮影で「成約率」を上げる不動産PR設計
この記事では、不動産業界や建築業界で広報を担当されている方、そしてオーナー様に向けて、FPVドローンを活用した新しい物件PRの手法について、現場のリアルな経験を交えて解説します。
写真や360度カメラでは伝えきれない「空気感」や「生活動線」を、どうやって映像にするのか。 その裏側にある技術と設計思想について、少し長くなりますが、お付き合いいただければ幸いです。
成果が出る「見せ方」の型|内覧体験を映像で再現する
「Webの閲覧数は多いのに、実際の内覧予約に繋がらない」 そんな悩みを抱えていませんか。 実はこれ、物件のスペックは伝わっているけれど、「そこに住む自分」が想像できていないという状態かもしれません。
これまでの不動産PRといえば、広角レンズで撮った明るい写真や、定点カメラでのルームツアーが主流でした。 もちろん、それらも素晴らしいツールです。 でも、人間が初めての場所を訪れたとき、もっと無意識に感じ取っている情報があります。
それは「空間の連続性」です。
玄関を開けて、廊下を歩き、リビングの扉を開けた瞬間に広がる開放感。 キッチンから洗面所へ抜ける家事動線。 これらを「点」ではなく「線」で体験することで、人は初めて「あ、この間取りなら暮らしやすそう」と直感的に理解します。
私たちが提案するFPVドローン撮影は、単に「空を飛ぶ映像」ではありません。 あたかも顧客自身の目線になって、物件の中を歩き回っているような「疑似内覧体験」を作り出す技術です。
実際に導入されたクライアント様からは、「動画を見てから来るお客さんは、成約までの決断が早い」という声をいただくことが増えました。 これは、動画内ですでに一度「内覧」を済ませている状態に近いからだと考えられます。
FPVドローンで入口から通路へ抜ける瞬間
入口から通路へ。写真では伝わらない「繋がり」を一筆書きで表現します




ぐるっとまわってソファ →




内覧予約の質を上げたいとお考えの方は、ぜひこの先もお読みください。
通常空撮とFPVの役割の違い|使い分けが成果を左右する
ここで少し、技術的なお話をさせてください。 よく「ドローン撮影をお願いしたい」とご相談をいただきますが、実はドローンには大きく分けて2つの種類があり、それぞれ得意な役割が全く異なります。
通常の空撮ドローン(DJI Mavicなど)
これは主に「外観」や「周辺環境」を撮るためのものです。 GPSで位置を安定させ、高い位置から建物の全景や、駅から物件までの道のりを撮影します。 いわば「Googleマップ」のような、客観的な情報を伝えるのが得意です。

FPVドローン / マイクロドローン
こちらが今回メインでお話ししているものです。 FPVとはFirst Person View、つまり一人称視点の略です。 パイロットはゴーグルを装着し、ドローンに乗っているような視界で操縦します。
GPSに頼らず、パイロットの技術だけで姿勢制御をするため、狭い室内や、階段の手すりの隙間、キッチンのカウンター越しなど、人間や大きなカメラでは入れない場所を滑らかに移動できます。

▼ マイクロドローン活用について
私の経験上、不動産PRで最強の構成は、この2つを組み合わせることです。 上空からのダイナミックな外観で「立地の良さ」を印象付け、FPVによるシームレスな移動で「室内の広がり」を感じさせる。 この緩急が、視聴者を飽きさせないポイントになります。
正直なところ、通常空撮だけでは室内の質感が伝わりません。 だからこそ、両方を使い分ける設計が重要なんです。
物件タイプ別・撮影設計のヒント|何を見せるかで結果が変わる
一言に不動産といっても、アピールすべきポイントは物件ごとに違います。 私が撮影現場で意識している、タイプ別の「撮影方法や攻め方」を少しだけ公開します。
新築分譲マンション・モデルルーム
ここでは「品格」と「質感」が命です。 床材の光沢や、キッチンの天板の素材感、そういったディテールに、あえてドローンでギリギリまで寄ります。
FPVドローンなら、リビングのソファ越しにバルコニーへ抜け、そのまま窓の外の眺望を見せるといった演出も可能です。 これはCGパースでは表現しきれない、リアルな「抜け感」を伝えるのに最適です。
以前撮影したタワーマンションの案件では、キッチンのシンク上を低空で通過し、そのまま窓際へ滑り込むカットを撮りました。 クライアント様からは「料理をしながら外を眺める生活が想像できる」と評価をいただきました。
戸建て・注文住宅
ここでは「動線」と「立体感」を重視します。 例えば、吹き抜けのあるリビング、階段を上がって2階の子供部屋へ行く流れ。 こういった「縦の動き」は、FPVドローンの独壇場です。
以前撮影した案件で、1階の窓から入り、吹き抜けを旋回して上昇し、2階のロフトまで一気に上がるカットを撮りましたが、「家の構造が一発でわかる」と建築家の方に大変喜ばれました。
戸建ては特に、図面だけでは伝わりにくい「空間のつながり」があります。 それを映像で見せることで、設計意図まで伝わるんです。
オフィス・商業施設・倉庫
ここでは「スケール感」と「位置関係」です。 広大な物流倉庫や、複雑なレイアウトのシェアオフィスなど、歩いて回ると時間がかかる場所を、ドローンなら数十秒で案内できます。
エントランスから会議室までの距離感など、利用者が気になるポイントをワンカットで見せることが重要です。 特にテナント募集の際、「ここからここまでが賃貸範囲」という空間認識を短時間で伝えられるのは、大きな強みになります。
広大な空間も、ドローンなら数十秒で全体を案内できます
物件ごとに見せるべきポイントは違います。 だからこそ、撮影前の打ち合わせで「何を一番伝えたいか」を明確にすることが、成果に直結します。
室内撮影の注意点|プロの視点から正直にお伝えします
室内でドローンを飛ばすなんて危なくないの。 そう心配される方もいらっしゃると思います。 当然のリスク管理についても触れておきます。
まず、私たちが室内で使用するドローンは、「マイクロドローン」と呼ばれる手のひらサイズの機体です。 重量は約100gから200g程度と非常に軽く、プロペラは完全にガード、つまりダクトで覆われています。 万が一、壁や家具に接触しても、傷をつけるリスクは極めて低いです。
ただ、撮影者としての「怖さ」も正直にお話ししますと、室内には「風」がありませんが、ドローン自身が起こす風、いわゆるダウンウォッシュが、壁に跳ね返って気流を乱すことがあります。 特に狭い廊下や、天井に近い場所では、機体が不安定になりやすいのです。
ここでモノを言うのが、パイロットの経験値です。 私、小林佑誠も、一通りの現場を経験してきましたが、「ここは気流が巻くから少しスピードを上げよう」「この鏡はセンサーが誤作動するから目視重視でいこう」といった判断は、現場の空気を感じて瞬時に行っています。
以前、全面ガラス張りのショールームを撮影した際は、ガラスへの映り込みを計算しながら、自分、つまり操縦者が映像に映り込まないルートを、ミリ単位で調整しました。 こういった現場対応力こそが、プロの仕事だと自負しています。
安全第一はもちろんですが、それと同時に、美しい映像を撮るための緊張感も常に持っています。 現場では、何度かテストフライトを重ね、ルートを確認してから本番に臨みます。
お客様の大切な物件を撮影させていただくわけですから、その責任は重く受け止めています。

納品フォーマットと活用の広がり|一度の撮影で複数の媒体へ
せっかく撮影した動画です。 Webサイトに埋め込むだけではもったいない。 目的や媒体に合わせて、編集を変えることをおすすめしています。
Webサイト・YouTube用(横型)
約1分から2分程度で、BGMに合わせてゆったりと全体を見せる構成。 情報の網羅性が高く、じっくり検討する層に向けたコンテンツです。
物件の特徴を丁寧に伝えるなら、この形式が最適です。 ナレーションを入れることで、さらに情報量を増やすこともできます。

実際に埋め込まれたサイトもこちらからご覧いただけます
Instagram・TikTok・Shorts用(縦型)
こちらは約15秒から30秒で、「インパクト」重視です。 倍速再生やテンポの良いカット割りで、「なんかこの部屋おしゃれ」と直感的に思わせる構成にします。
最近は、スマホで物件を探す層が圧倒的に多いため、この縦型動画の重要性が年々増していると感じています。 特に若年層や、初めての物件探しをしている方には、縦型動画の方が刺さりやすいですね。
一度の撮影素材から、複数のフォーマットに展開できるのも、動画の強みです。 Webサイト、SNS、展示会のモニター、営業資料など、様々な場面で活用できます。
最近では、VR内覧と組み合わせて使いたいというご相談もいただきます。 映像の活用方法は、どんどん広がっています。
撮影準備|現場でお願いすること
良い映像を撮るためには、当日の準備が8割と言っても過言ではありません。 お客様にお願いしたい、「撮影前のチェックリスト」を共有します。
徹底的な整理整頓
ドローンはあらゆる角度から部屋を撮ります。 テーブルの下の配線コード、棚の上のちょっとした書類。 これらが意外と目立ちます。
モデルルームのように「生活感を消す」のが基本です。 特に床に物が置いてあると、ドローンの低空飛行時にどうしても目立ってしまいます。
トイレの蓋とドアの開閉
トイレの蓋は閉めておくのがマナーです。 また、ドローンが通過するドアは全開にし、ストッパーで固定をお願いします。 風圧でドアが動くと危険だからです。
以前、ドアが半開きのまま撮影してしまい、ドローンの風圧でドアが揺れてしまったことがありました。 それ以来、必ず事前にチェックするようにしています。
照明の確保
ドローンのカメラは暗所があまり得意ではありません。 全ての照明を点灯し、可能であればカーテンを開けて、自然光を入れるのがベストです。
明るさが足りないと、映像がノイズっぽくなってしまいます。 逆に、明るければ明るいほど、質感が美しく撮れます。
特に、キッチンやバスルームなど、元々照明が少ない場所は要注意です。 可能であれば、追加の照明を持ち込むこともあります。

準備がしっかりできていれば、撮影はスムーズに進みます。 逆に、現場で慌てて片付けをすると、時間のロスにもなりますので、ぜひご協力をお願いします。
料金の考え方とWORKS事例|コストと価値のバランス
費用については、物件の広さや、カット数、編集の有無によって変動しますが、決して「安く撮る」ことだけを目指してはいません。 なぜなら、万が一の事故を防ぐための安全管理費や、高品質な映像を担保するための機材費、そしてパイロットの技術料が含まれているからです。
ただ、数百万円もするテレビCMのようなコストはかかりません。 一般的なWeb用PR動画として、現実的な予算感でご提案できるよう、プランを調整しています。
正直なところ、「とにかく安く」というご要望には応えられないこともあります。 なぜなら、私たちは「価格」ではなく「価値」を提供したいからです。
撮影後、どれだけ問い合わせが増えたか、内覧予約が入ったか。 そこに価値を感じていただけるクライアント様と、長くお付き合いしたいと考えています。
実際の撮影事例
ここで、実際に弊社が撮影を担当した不動産事例になります。
この案件では、エントランスのアプローチから、エレベーターホール、そして室内のリビングまでを、ワンカット風に繋ぐ編集を行いました。
クライアント様からは、「静止画の時と比べて、ページ滞在時間が約1.5倍に伸びた」という嬉しいご報告をいただいています。 さらに、動画を見てから内覧に来る方は、すでに物件の雰囲気を理解しているため、商談がスムーズに進むとのことでした。
映像の力を、数字で実感していただけた事例です。
他にも、戸建て住宅や図書館や美術館など、様々な撮影実績がございます。 詳しくはWORKSページをご覧ください。
▼ 様々な撮影実績を確認する
お問い合わせ|まずは相談から始めませんか
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
不動産や建築のPRにおいて、「映像」はもはや必須のツールになりつつあります。 しかし、ただ撮るだけではなく、「どう見せれば、顧客の心が動くか」という戦略の部分から、一緒に考えさせていただければと思います。
「うちの物件、ドローンで撮れるかな」 「狭い場所だけど大丈夫かな」 「予算がどれくらいかかるか知りたい」
そんな素朴な疑問でも構いません。 まずは一度、ご相談ください。
現場を知り尽くした私たちが、最適なプランをご提案します。 物件の特性や、PRの目的、ターゲット層に合わせて、最も効果的な撮影方法を一緒に考えましょう。
▼ まずは無料で相談してみる
撮影の可否や、大まかな費用感については、物件の図面や写真をお送りいただければ、事前にお伝えすることも可能です。 お気軽にお声がけください。
実際の撮影現場での経験をもとに執筆
この記事は、実際の撮影現場での経験をもとに執筆しています。 推測や憶測ではなく、現場で起きたこと、クライアント様から実際にいただいた声、そして私たちが大切にしている考え方を、できるだけ正直にお伝えしました。
不動産PRにおけるドローン活用は、まだまだ発展途上の分野です。 だからこそ、一つ一つの現場での学びを大切にし、より良い映像、より効果的な見せ方を追求し続けたいと思っています。
この記事が、皆様の物件PRの一助となれば幸いです。



