2026年最新ドローン規制まとめ|航空法・FPV・海外比較まで完全解説

法規制情報 2026

2026年最新ドローン規制まとめ
航空法・FPV・海外事例まで完全解説

改正ドローン規制法が2026年6月17日に成立し、重要施設周辺の飛行禁止エリアが一気に広がりました。正直なところ、ルールは年々複雑になっていて、現場のパイロットでも全体像を追いきれないほどです。だからこそ、FPV・空撮・業務利用まで「結局どこに気をつければいいのか」を、実例と公的な出典を添えて一度きちんと整理してみました。

最終更新:2026年6月28日FPVパイロット歴7年・現場目線でまとめています読了目安:約15分
SECTION 01

2026年の変更点ハイライト
まず読むべき3点

細かい条文に入る前に、2026年で「ここだけは押さえてほしい」という3点から先にお伝えします。特に都市部で飛ばす方は、最初の項目だけでも今すぐ確認することをおすすめします。

速報:改正ドローン規制法が成立(2026年6月17日)
参院本会議で可決・成立しました。重要施設周辺の飛行禁止エリアが従来の約300mから約1kmへと大きく拡大し、警察官の命令を待たずに罰則を科せる「直罰化」も導入されます。

1. 重要施設周辺が300mから1kmに拡大

官邸・国会・外国公館・原発などの周辺が対象です。これまで「ここなら安全」と思っていた都心のエリアが、一気に禁止ゾーンへ入る可能性があります。

2. 直罰化(警察の命令なしで即罰則)

イエローゾーン内の無許可飛行は、警察官の退去命令を待たずに刑事罰の対象になりました。「知らなかった」では済まされない、という点が大きな変化です。

3. 民間資格による申請の省略措置が廃止済み

2025年12月18日をもって、民間資格をエビデンスとした飛行許可申請の省略措置が終了しました。業務で飛ばす方は国家資格への移行がほぼ必須です。

ケーススタディ 01

「いつもの河川敷」が突然NG。1km規制の落とし穴

河川敷NG

東京都内の河川敷で定期的に空撮していたYさん(趣味の空撮歴3年)。航空法上の許可も取得済みで、DID地区ではないことも確認していました。しかし2026年の改正後、その河川敷が外国大使館の1km圏内に入ることが判明します。

「航空法はクリアしているから大丈夫」と飛ばそうとしたところ、警察官に呼び止められました。航空法と小型無人機等飛行禁止法は別の法律で、前者の許可は後者にはまったく効力を持ちません。

結果:その場で警告。改正後は警告なしで即罰則の対象になります。

都心部で飛ばす方は本当に注意してください。港区・千代田区・渋谷区あたりは外国大使館が密集していて、1km規制になると「えっ、ここも?」という場所が驚くほど禁止エリアに入ります。飛ばす前に、地理院地図で1km圏を必ず引き直しておくのが安全です。

出典:警察庁「小型無人機等飛行禁止法」、国土交通省、改正小型無人機等飛行禁止法(2026年6月17日成立)。

SECTION 02

ドローン規制の歴史と
改正タイムライン

ドローン規制の歴史

今のルールがなぜこんなに複雑なのか。それは、事故やトラブルが起きるたびに少しずつ規制が積み重なってきたからです。流れを追うと、改正の「意図」が見えてきます。

2015年12月
航空法改正(第一弾)
200g以上の機体が規制対象に。禁止空域・飛行方法の基本ルールが定められました。
2016年
小型無人機等飛行禁止法 施行
国会議事堂・官邸・外国公館・原発などの重要施設周辺300mを飛行禁止に指定。
2022年6月
航空法改正(大改正)
規制対象が100g以上に拡大。機体登録・リモートIDが義務化され、飛行カテゴリー制度(I〜III)が導入されました。
2022年12月
国家資格制度スタート
一等・二等無人航空機操縦士の国家資格が誕生。民間資格からの移行期間が設けられました。
2024年6月
運用解釈の改正
屋内飛行の解釈明確化、レベル3.5飛行区分の新設など、実務に直結する変更が入りました。
2025年12月18日
民間資格エビデンス申請の廃止
登録講習機関による講習・審査の省略措置が終了。実質的に国家資格へ一本化されました。
2026年3月24日
改正ドローン規制法案 閣議決定
飛行禁止エリアの1km拡大・直罰化を盛り込んだ改正案が閣議決定されました。
2026年6月17日
改正ドローン規制法 成立
参院本会議で可決・成立。施行は公布から20日後で、都市部ユーザーへの影響が大きい改正です。

出典:国土交通省警察庁の各改正法令、ならびに報道(日本経済新聞 2026年3月・6月)に基づき整理。

SECTION 03

関係する法律の全体像
6法令マップ

関係する法律の全体像イメージ

ドローンを難しくしている最大の理由が、これだと思います。1つの法律で完結せず、用途・場所・機体によって複数の法令が同時に絡んでくるのです。まずは全体像を俯瞰してみましょう。

法令管轄省庁主な対象重要度
航空法国土交通省100g以上の屋外飛行すべて最重要
小型無人機等飛行禁止法警察庁重量不問・重要施設周辺(改正で1km)最重要
電波法総務省重量・屋内外不問(電波を出すすべての機器)最重要
民法法務省他人の土地の上空(地権者の許可)要注意
道路交通法警察庁道路上・道路横断での操縦行為要注意
自治体条例各自治体公園・河川敷・観光地など地域独自のルール要注意
ここが落とし穴なのですが、航空法の許可を取得していても、小型無人機等飛行禁止法の規制エリアでは飛ばせません。2つの法律は独立して適用されるため、「航空法はクリアしているから大丈夫」という判断は危険です。
ケーススタディ 02

「航空法の許可を取ったのに捕まった」二省庁管理の罠

建設会社に勤めるKさんは、橋梁点検のためにDIPSから航空法の飛行許可を取得。当日は第三者のいない場所で、許可どおりに飛行を開始しました。ところが現場近くに防衛省の関連施設があり、その300m圏内(当時)に入っていたことが後から判明します。

航空法(国土交通省)の許可は取得済みでしたが、小型無人機等飛行禁止法(警察庁)の規制は別途クリアが必要でした。警察庁側には何の申請もしていなかったのです。

結果:小型無人機等飛行禁止法違反。2つの法律は完全に独立していて、片方の許可は他方に影響しません。

出典:国土交通省「無人航空機の飛行ルール」、警察庁「小型無人機等飛行禁止法」、総務省「ドローン等に用いられる無線設備について」。

SECTION 04

航空法の基本
飛行禁止空域・飛行方法

飛行禁止空域

すべての土台になるのが航空法です。少し量はありますが、「どこで飛ばせないか」と「どう飛ばすべきか」の2つに分けて読むと、すっと頭に入ると思います。

飛ばしてはいけない場所(許可が必要な空域)

  • 人口集中地区(DID地区):東京23区はほぼ全域が該当します。自宅の庭でも無許可はNGです。
  • 空港・ヘリポート周辺:空港ごとに設定された進入表面などの禁止エリアが対象です。
  • 地表・水面から150m以上:有人機の航路を侵すおそれがあるため、厳格に管理されています。
  • 緊急用務空域:消防・警察のヘリが活動中の空域。包括許可があっても原則すべて禁止です。

守らなければならない飛ばし方

  • 日中飛行のみ(日の出から日没まで)。夜間飛行には別途承認が必要です。
  • 目視内飛行。肉眼で常に機体を確認します。FPVゴーグルの使用は目視外扱いになります。
  • 第三者・物件から30m以上の距離を確保すること。
  • 催し場所(イベント上空)での飛行禁止
  • 危険物の輸送・物件の投下の禁止
  • アルコールや薬物の影響下での操縦禁止
ケーススタディ 03

「地方の田んぼなら大丈夫でしょ」DID地区の誤解

農業用ドローンを導入したTさん(農家・60代)。地方の農村部だから人口密集地とは無縁だと考え、農薬散布を始めました。ところが、近くに小さな市街地があり、その区域が国勢調査ベースの人口集中地区(DID)に指定されていたのです。

DIDは「見た目に賑やかかどうか」ではなく、国勢調査の人口密度データに基づいて機械的に決まります。自分の住む地域でも、意外な場所がDIDに入っていることがあります。

教訓:農業用途でも航空法は適用されます。DIPSの地図ツールで事前に必ず確認を。農薬散布の場合は農林水産省との連携申請が必要なこともあります。

意外と知られていないのですが、補助者(オブザーバー)が目視で機体を確認していれば「目視内飛行」とみなされるケースがあります。FPVのレースや撮影では、この補助者の役割を正しく設定するだけで申請区分が変わることがあるので、事前にDIPSで確認しておくと現場で慌てずに済みます。

出典:国土交通省「無人航空機の飛行ルール(航空法)」、DIPS2.0

SECTION 05

飛行カテゴリー制度
Cat.I〜IIIの早わかり

飛行カテゴリー制度

2022年の大改正以降、ドローンの飛行はリスクに応じた4段階のカテゴリーに分類されています。ざっくり言うと、カテゴリーが上がるほど必要な資格と申請が増える、という仕組みです。

Cat.I
最低リスク
人口希薄地・目視内・立入管理あり。許可不要(基本ルールの遵守のみ)。
Cat.II
中程度リスク
特定飛行(DIDなど)。国家資格と機体認証の組み合わせで申請が免除できる場合があります。
Cat.III
高リスク
立入管理なしの第三者上空。一等資格と第一種機体認証が必要で、個別申請が必須です。
特定空域
個別許可が必要
150m以上や空港周辺。国家資格を持っていても、飛行ごとに個別の許可申請が必要です。
レベル3.5(2024年新設):立入管理なしで第三者の上空を「補助者なし・目視外」で飛べる新しい区分です。従来は不可能だった飛び方で、物流やインフラ点検での活用が期待されています。
ケーススタディ 04

ドローン宅配を始めたいスタートアップが直面したカテゴリーの壁

スタートアップ

物流スタートアップのAさんチームは、住宅街での小荷物配送サービスを計画。「過疎地の高齢者向けだから人は少ない」と考えて準備を進めましたが、実際には住宅地の上空を飛ぶため、カテゴリーIIIに該当することが判明しました。

カテゴリーIIIでは一等無人航空機操縦士の国家資格第一種機体認証の両方が必要で、さらに個別の飛行許可申請も求められます。当初予定していた機体では第一種認証が取れず、別機体の調達が必要になりました。

教訓:「人が少ない=カテゴリーが低い」ではありません。第三者がいる可能性のある空域の上空は、カテゴリーIII扱いになることがあります。事業計画の初期段階でDIPSに相談を。

出典:国土交通省「無人航空機の制度・飛行カテゴリー」。

SECTION 06

国家資格(一等・二等)制度
2026年版

国家資格(一等・二等)制度

「結局、資格は取った方がいいの?」とよく聞かれます。業務で飛ばすなら答えはほぼYESです。一等と二等の違いを表で整理しておきます。

二等無人航空機操縦士一等無人航空機操縦士
主な対象飛行カテゴリーIIA・IIBカテゴリーIII(第三者上空)
機体認証第二種機体認証で一部免除第一種機体認証が必要
試験形式学科(CBT)と実地学科(CBT)と実地(高難度)
取得経路指定試験機関 または 登録講習機関同左(審査基準が厳格)
有効期限3年ごとに更新3年ごとに更新
行政処分違反・重大な過失で停止(3ヶ月〜1年)または取消し
2025年12月18日以降、民間資格(JUIDAなど)をエビデンスにした飛行許可の省略申請は廃止されました。民間資格だけで業務飛行をしている方は、国家資格への移行が急務です。
ケーススタディ 05

「JUIDA資格があるから大丈夫」2026年に通用しなくなった民間資格

通用しなくなった民間資格

映像制作会社のMさんは、民間のJUIDA資格を取得し、これまで包括申請で飛行許可を得てきました。ところが2026年の新規案件で申請したところ、「民間資格のエビデンスによる省略措置は2025年12月18日に終了しています」と窓口から指摘されます。

Mさんはその後、急いで国家二等資格の取得手続きへ。試験には学科と実地があり、準備期間を含めて最低でも2〜3ヶ月かかりました。その間、受注した案件の納期にも影響が出てしまったそうです。

教訓:業務でドローンを使う方は早めに国家資格への移行を。試験は民間スクールの受講なしでも受験できますが、実地試験の対策にはやはり時間がかかります。

出典:国土交通省「無人航空機操縦者技能証明制度」。

SECTION 07

機体登録・リモートID義務

機体登録

意外と見落とされがちなのが、この登録の「期限」です。登録自体は知っていても、3年で切れることを忘れている方が本当に多い印象です。

登録が必要な機体

機体本体とバッテリーの合計重量が100g以上の機体は、すべて国土交通省への登録が義務です。DJI Miniシリーズを含め、市販カメラドローンのほぼ全てが対象になります。

登録手続き(DIPS 2.0)

国土交通省のオンラインシステムで申請します。有効期間は3年で、期限が切れると登録記号が無効になります。

リモートID搭載義務

機体識別情報を発信するリモートIDの搭載が必須です。未搭載の場合は、登録された特定区域内でしか飛ばせません。

自作機・中古機も対象

自作したFPV機も100g以上なら登録が必要です。中古で購入した場合も、名義変更の手続きを忘れずに。

ケーススタディ 06

「登録は3年前にした」有効期限切れに気づかず飛行した事例

ハイキングが趣味のSさんは、2022年に機体登録を済ませ、週末に山岳地帯で空撮を楽しんでいました。2025年に友人から指摘されて確認したところ、登録の有効期限が3年で切れていて、すでに数ヶ月間、無登録のまま飛ばしていたことが判明します。

機体登録の有効期限は3年間です。更新を忘れると登録記号が無効になり、以降の飛行はすべて無登録飛行の扱いになってしまいます。

リスク:無登録飛行は1年以下の懲役または50万円以下の罰金。DIPS 2.0にログインして、有効期限を今すぐ確認してください。

100g未満機の注意点

航空法上の登録・申請は不要ですが、「小型無人機等飛行禁止法」は重量を問わず全機体に適用されます。さらに電波法も、重量や屋内外を問わず適用されます。「小さいから大丈夫」は、残念ながら完全な誤解です。

出典:国土交通省「無人航空機の登録制度(DIPS2.0)」、警察庁総務省

SECTION 08 / 2026年最大の改正

重要施設1km規制と直罰化
【2026年6月17日 法律成立】

重要施設1km規制

今回の改正で、いちばんインパクトが大きいのがここです。都市部や観光地で飛ばす方は、正直、これまでの感覚を一度リセットした方がいいと思います。

改正ドローン規制法(小型無人機等飛行禁止法の改正)が2026年6月17日に成立
施行は公布から20日後です。都市部・観光地で飛ばす方は、早めに規制エリアを引き直しておくことを強くおすすめします。

主な改正内容

項目改正前(現行)改正後
イエローゾーン(飛行禁止区域)重要施設周辺 約300m重要施設周辺 約1,000m
イエローゾーンでの罰則適用警察官の命令の後に罰則即時の罰則(直罰化)
6ヶ月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金
対象施設の追加従来の重要施設天皇・内閣総理大臣が訪問する場所(期間限定で追加可能)
規制エリアの確認方法国土地理院「地理院地図」同左(更新情報の確認が必須)

対象となる重要施設(主なもの)

  • 国会議事堂、首相官邸、最高裁判所
  • 各省庁(財務省・防衛省・外務省など)
  • 外国公館(大使館・領事館)
  • 原子力発電所・核燃料施設
  • 防衛関係施設(自衛隊基地)
  • 皇居・御所
ケーススタディ 07

観光地で動画撮影、近くに外国大使館。1km規制で事実上の撮影不可に

旅行系YouTuberのRさんは、東京・広尾エリアで街並みの空撮動画を企画。DID地区のため航空法の許可は取得済みでした。ところが広尾周辺には外国大使館が複数あり、1km規制の適用後、撮影予定地がいずれかの大使館の1km圏内に完全に入ってしまいました。

改正後は「イエローゾーン内の無許可飛行=即罰則」となるため、対象施設の管理者などの同意と、警察への事前通報がなければ飛ばせません。外国公館の場合、同意を得ること自体が現実的に難しいのが実情です。

結果:撮影計画を全面的に変更。大使館の密集する都心部では、「航空法の許可を取った場所でも飛べない」というケースが急増しています。

改正前の「安全圏」が、改正後には「禁止圏」に変わります。特に都心部や官公庁、空港、原子力施設の周辺で飛ばす予定がある場合は、1kmの境界線を地理院地図でかなり厳密にチェックしてください。以前は飛ばせた場所でも、改正後は状況が一変している可能性があります。

出典:警察庁「小型無人機等飛行禁止法」、改正小型無人機等飛行禁止法(2026年6月17日成立)、国土地理院「地理院地図」。

SECTION 09 / FPVパイロット必読

FPVドローン特有の
二重規制(電波法と航空法)

ここからは私の専門分野でもあるFPVの話です。FPVドローン(First Person View)は、ゴーグルを通じてドローン視点でリアルタイムに操縦する機体で、一般的な空撮ドローンとは法的な扱いが大きく異なります。ポイントは、航空法と電波法を同時にクリアする必要があるという点です。ここを誤解している人が、本当に多いです。

航空法(国土交通省)

  • 100g以上の屋外機体は機体登録が必須
  • FPVゴーグルの使用は目視外飛行に該当する
  • 目視外飛行には国交省の承認が必要
  • 承認の条件:GPSを使わない安定飛行や、10時間以上の飛行経歴の証明など
  • 補助者が目視で確認していれば、目視内とみなされる場合もある

電波法(総務省)

  • 重量や屋内外を問わず、電波法は適用される
  • 5.8GHz帯のVTX(映像送信機)の使用には無線局免許が必要
  • 必要な資格:第四級アマチュア無線技士以上
  • 技適マークのないVTXは、JARDなどの保証認定が必要
  • 違反した場合:1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金

屋内FPVレースは規制が異なる

体育館や倉庫など、屋内での飛行には航空法の無人航空機規制が適用されません(2024年改正の運用解釈)。ネットや金網で囲われた会場も「屋内」とみなされるため、機体登録も飛行承認も不要です。ただし、電波法は屋内でも適用される点にだけは注意してください。

飛行シーン機体登録飛行承認無線免許
屋内FPVレース(ネット囲い)不要不要電波法による
屋外FPV・人口希薄地(Cat.I)必要(100g以上)目視外承認が必要電波法による
100g未満のトイFPV(屋外)不要(航空法)不要(航空法)5.8GHz帯は免許が必要
ケーススタディ 08

「海外通販の格安VTXを使ったら電波法違反」100g未満でも罰則の対象に

海外通販の格安VTX

FPVに興味を持ったHさんは、海外通販サイトで人気のスターターキットを購入。重量が100g未満だったため「航空法の制限なしで気軽に飛ばせる」と喜んでいました。ところが、このキットに搭載されたVTXは5.8GHz帯を使用していて、技適マークがありませんでした。

100g未満でも、電波を発するVTXを使った時点で電波法が適用されます。免許なしで使用した場合の罰則は最大100万円の罰金。これはドローン規制の中でも最も重い金額です。

対応:5.8GHz帯のVTXを使うには、第四級アマチュア無線技士の取得、JARDなどの保証認定、無線局の開局申請が必要です。技適のある2.4GHz帯対応機なら免許は不要です。

FPVコミュニティで本当に多いのが、「海外通販の格安VTXをそのまま使ってしまう」問題です。技適なし・出力過剰で、完全に電波法違反になっているケースが少なくありません。正直なところ、きちんと確認している人はまだ少数派という印象です。JARDの保証認定を取るのは少し手間ですが、5.8GHz帯を使うなら4アマの取得は最低ラインだと考えてください。

出典:総務省「ドローン等に用いられる無線設備について(電波法)」、国土交通省「無人航空機の飛行ルール」、日本アマチュア無線振興協会(JARD)。

SECTION 10

海外のドローン規制と
日本の比較

海外でFPVのレース遠征をしてきた経験から言うと、国によって本当に考え方が違います。海外で飛ばす予定のある方や、規制のあり方を比較したい方向けに、主要国・地域の状況を整理しておきます。

国・地域登録対象重量資格制度特徴・注意点
日本100g以上国家資格(一等・二等)FPV規制が特に複雑。航空法と電波法の二重管理で、1km規制は国際的にも厳しい部類です。
アメリカ250g以上Part 107(商用ライセンス)FAAが管理。商業利用はPart 107が必須。中国製ドローンの政府調達規制が進行中です。
EU(EASA)250g以上(カメラ付きは全機)リスクカテゴリー別(Open / Specific / Certified)EU統一規制で加盟国共通。Open Category(500g未満)は登録だけで飛べる場面が多いです。
中国250g以上飛行区分・高度・速度による分類2024年より「無人操縦航空機飛行管理暫定条例」が施行。政府・軍事施設の周辺は厳格です。
オーストラリア250g以上CASAが管理・商用はライセンス制地方部は比較的緩やか。都市部や国立公園は厳格で、自然保護区でのFPV運用は事前確認が必須です。
シンガポール全機体(CAASが管理)重量・用途別の審査7kg以上はケースバイケースの審査。都市国家のため、規制エリアが事実上ほぼ全域です。
韓国250g以上操縦資格制度あり首都圏は事前の飛行計画提出が必要。FPVドローンレースの大会開催実績があり、規制緩和の動きもあります。

日本の規制は、世界的に見ると「厳しい部類」

  • 登録対象が100gと、世界でも最低水準の基準です(米国やEUは250g)。
  • FPV特有の電波法規制(5.8GHz帯VTXへのアマチュア無線免許)は、日本独自の複雑な要件です。
  • 航空法と小型無人機等飛行禁止法の二省庁管理という、構造的な複雑さがあります。
  • 今回の1km規制も、国際的に見てかなり厳格な水準だといえます。
ケーススタディ 09

「EUで飛ばせたから日本でも大丈夫」海外帰国後の盲点

EUで飛ばせたから日本でも大丈夫

欧州での在住経験があるNさんは、フランスで500g未満のドローン(EU Open Category A1)を問題なく使っていました。帰国後も「登録だけすれば飛ばせる」と思い込み、同じ感覚で都内の公園で飛ばそうとしました。

しかし日本では、DID地区(東京のほぼ全域)での飛行には航空法の許可が必要で、さらに東京都立公園はドローンの持ち込みや飛行自体が都条例で禁止されています(一部例外を除く)。EUのOpen Categoryに相当する緩やかな区分は、日本には存在しません。

教訓:海外での経験や常識は、日本では通用しないことが多いです。帰国後は、日本の航空法と条例を白紙から確認し直してください。

EUや韓国でのレース遠征で感じるのは、許可さえ取れば飛ばせる場所の選択肢が日本より広い、ということです。EU Open Categoryの500g未満機なら登録だけで飛べる場面も多く、日本の「規制の複雑さ」と「知識コストの高さ」はやはり際立っています。だからこそ、正確な情報を整理して発信する意味があると思っています。

出典:各国航空当局(米FAA、欧州EASA、シンガポールCAAS、豪CASA など)の公開情報。海外の制度は変動が大きいため、渡航前に必ず現地当局の最新情報をご確認ください。

SECTION 11

違反した場合の罰則一覧

脅すつもりはないのですが、罰則を知っておくことは「自分を守ること」でもあります。主なものを整理しました。

違反の内容根拠法令罰則
無登録飛行(100g以上)航空法1年以下の懲役または50万円以下の罰金
許可・承認なしの飛行(飛行禁止空域など)航空法1年以下の懲役または50万円以下の罰金
重要施設レッドゾーン(敷地上空)の無許可飛行小型無人機等飛行禁止法1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金
重要施設イエローゾーン(1km圏)の無許可飛行【改正後・直罰化】小型無人機等飛行禁止法(改正)6ヶ月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金
無線局免許なしでのVTX使用(電波法違反)電波法1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金
飛行日誌の不記載・虚偽記載航空法30万円以下の罰金
国家資格(技能証明)の不正取得航空法技能証明の取消し・業務停止
電波法違反の100万円の罰金は、ドローン規制の中でも最高額です。技適なし・無線免許なしのVTX使用は、単なる「マナー違反」ではなく、れっきとした刑事罰の対象だということを覚えておいてください。
ケーススタディ 10

飛行日誌を「面倒だから省略」30万円罰金の可能性

業務でドローン測量を行うCさんは、飛行日誌の記録を「毎回細かくて面倒」として、まとめてあとから記入したり、一部を省略したりしていました。ある現場で立入検査を受けた際、飛行日誌の記載不備を指摘されます。

飛行日誌は航空法上の義務で、記載すべき事項(飛行の日時・場所・機体番号・目的・異常の有無など)が定められています。虚偽記載や不記載は、30万円以下の罰金の対象です。

教訓:飛行日誌はDIPSの機能やスマホアプリで記録できます。毎回の手間を省こうとして重い罰則を受けるのは、あまりに割に合いません。

出典:航空法、電波法、小型無人機等飛行禁止法の各罰則規定(国土交通省総務省警察庁)。

SECTION 12

飛ばす前の確認チェックリスト

毎回ここを確認する習慣そのものが、いちばんのリスクヘッジになります。私も現場では、必ずこの順番で見直しています。

機体・資格の確認

  • 機体登録(DIPS 2.0)は完了しているか。有効期限(3年)は切れていないか。
  • 登録番号は機体に表示されているか。
  • リモートIDは搭載・作動しているか。
  • 必要な国家資格(一等・二等)は持っているか。
  • FPV機の場合、VTXの技適や無線免許は取得しているか。

飛行場所の確認

  • DIPS 2.0 または 地理院地図 で飛行禁止空域を確認したか。
  • 人口集中地区(DID)の中ではないか。
  • 重要施設の1km圏内ではないか(改正後)。
  • 空港・ヘリポートの周辺ではないか。
  • 自治体の条例や公園の規則はないか。
  • 緊急用務空域が設定されていないか(DIPSで確認)。
  • 土地の所有者の許可は得ているか。

飛行方法の確認

  • 日中(日の出から日没まで)の飛行か。
  • 目視内飛行か、または目視外承認は取得済みか。
  • 第三者・物件から30m以上の距離が確保できるか。
  • イベント・催し場所の上空ではないか。
  • 飛行日誌の記載は準備できているか。
SECTION 13

便利ツール・参考リンク

DIPS 2.0(国土交通省)

機体登録・飛行許可申請・飛行計画通報の公式システム。飛行前に必ず確認したい窓口です。

地理院地図(国土地理院)

規制エリアの地理的な確認に使います。DID地区や重要施設の位置の把握に有効です。

JARD(日本アマチュア無線振興協会)

技適のないVTXの保証認定を行う機関。FPVパイロットにとっての電波法対応の窓口です。

無人航空機ヘルプデスク(国交省)

電話相談の窓口(050-3385-4717、平日9〜17時)。規制の解釈など、専門的な相談ができます。

このページの情報は定期的に更新します

ドローン規制は年々変化しています。飛行申請のサポートや個別のご相談は、お問い合わせページから受け付けています。

お問い合わせ

免責事項:本記事は2026年6月28日時点の情報をもとに作成しています。法令・規制は頻繁に改正されます。飛行の前には、必ず国土交通省・警察庁・総務省の公式情報をご確認ください。本記事の情報を利用したことによる損害について、筆者は一切の責任を負いません。


主な参考・出典:国土交通省「無人航空機の飛行ルール」、警察庁「小型無人機等飛行禁止法」、総務省「ドローン等に用いられる無線設備について」、国土地理院「地理院地図」、ならびに報道(日本経済新聞 2026年3月・6月)。

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