竣工写真と同じ日に撮る館内ドローン映像|段取り・費用・発注のコツ

竣工記録ガイド

竣工写真と同じ日に撮る館内ドローン映像
段取り・費用・発注のコツ

竣工写真は、引き渡し前の数日間しかない「一発勝負」の撮影です。その同じ日に館内の映像も押さえておくかどうかで、あとから使える記録の幅が大きく変わります。別の日に撮り直そうとした結果、什器が入って同じ空間がもう残っていなかった、という相談を実際に何度も受けてきました。この記事では、写真と映像を同日に収めるための段取りを、現場の時間配分レベルで整理します。

対象:設計事務所・内装・ディスプレイ会社・ゼネコン・デベロッパー読了目安:約10分
SECTION 01

なぜ「同じ日」でなければ
いけないのか

竣工写真が一発勝負と言われるのは、建物が「誰も使っていない完成状態」でいる時間が極端に短いからです。養生が外れてから引き渡しまでの期間は、物件によって差はあるものの数日から一週間程度しかないことが珍しくありません。その後は什器が搬入され、サインが付き、人が入ります。竣工写真のカメラマンが朝いちばんの光を狙うのも、同じ理由です。

映像も条件はまったく同じ、むしろ厳しくなります。写真なら画角を工夫して避けられる段ボール一箱が、飛行ルートの途中にあるだけで一本撮りが成立しなくなるからです。だからこそ私たちは館内の竣工記録を、竣工写真と同じ日に押さえることを基本の進め方としています。

館内撮影の起点になるエントランス
竣工写真が狙うのと同じエントランス。什器が入り、清掃が終わった直後の状態は、同じ日にしか残せません。
「後日あらためて映像を」が成立しにくい理由
引き渡し後は施設の管理者が変わり、飛行の許可を取り直すことになります。営業開始後であれば、閉館後の深夜帯しか飛ばせないケースがほとんどです。照明も運用設定に切り替わり、竣工写真と同じ見え方には戻りません。
SECTION 02

竣工写真と館内映像は
役割が違う

同じ日に撮るとはいえ、両者は代替関係にはありません。それぞれが記録できるものが違います。

竣工写真館内ドローン映像
記録できるもの素材・納まり・質感・ディテール空間の体積、動線のつながり、天井高の実感
得意な画静止した構図。歪みのない垂直・水平階をまたぐ上昇、吹き抜けの中空、什器の向こう側
主な使いどころ作品集、申請資料、プレスリリース、Webの実績ページプレゼン、社内共有、受賞応募、SNS、施主への引き渡し資料
立ち会い必要(カット確認)必要(飛行区画と順序の確認)
館内撮影で使用するプロペラガード付きの小型FPVドローン
館内で使う機体の一例。プロペラガードを付けた小型機で、什器や壁に近づく区間を飛ばします。

設計者の方からよく言われるのが「写真だと、上から見下ろした絵と見上げた絵は撮れるけれど、その間の体積が抜け落ちる」ということです。エントランスから最上階まで一本で上がる映像は、まさにその抜け落ちた部分を記録するためのものです。

SECTION 03

同日撮影の4つのメリット

1. 空間の状態が完全に一致する

写真と映像で什器配置も照明も同じになります。作品集の写真と、プレゼンで流す映像が同じ空間に見える。別日だとここが必ずずれます。

椅子の下をくぐり抜けるFPVのカット
人の目線では成立しない、椅子の下をくぐるようなカット。写真と違って「通り抜ける動き」そのものが素材になります。

2. 立ち会いが1回で済む

設計担当者・施工担当者・施設管理者の立ち会いは、日程調整がいちばん重い工程です。これを1回に畳めることの効果は、費用以上に大きいはずです。

3. 写真と映像で押さえどころが揃う

写真班が「ここは撮っておきたい」と判断した箇所を、その日のうちに映像でも押さえられます。別日だと、この引き継ぎがどうしても抜け落ちます。

4. 調整コストが下がる

交通費、立会人件費、施設との調整工数、許可申請。これらは撮影が2日になると単純に2倍かかります。

竣工記録としての館内ドローン撮影について
設計事務所・内装・ディスプレイ会社・ゼネコン向けに、竣工写真と同じ日に館内を記録するプランをご用意しています。撮影1日・編集済み映像1本+ドローン静止画で35万円から、対応区画や照明シーンの数で変わります。
館内ドローン撮影|ホテル・アリーナの竣工映像 を見る →
SECTION 04

当日のタイムテーブル例

撮影当日に展開したドローン機材一式
撮影当日の機材展開。空間ごとに使う機体が違うため、複数機とバッテリーをまとめて持ち込みます。

ホテル1棟(ロビー・客室1タイプ・共用棟)を想定した進行例です。午前中に写真チームが撮影を終え、午後の約3時間でドローン撮影を完結させる形が、現場としては最も動きやすい組み方になります。規模や区画数で前後しますが、考え方の目安としてご覧ください。

09:00
写真チームが撮影開始
午前中は写真班が自然光のよい区画から進めます。ドローン班はこの時間に現場へ入り、機材を展開しながら実際の空間を見て回ります。
12:00
写真撮影が終了・入れ替わり
撮り終えた区画と気になった箇所を写真班から引き継ぎ、昼休憩を挟んで入れ替わります。
13:00
ドローン撮影開始
飛行ルートはここで確定します。天井高や什器まわりのクリアランスは実際に見てみないと分からないため、現場で判断しながら順に押さえていきます。
14:00
メインカットの一本撮り
エントランスから上階まで通す長い一本は、人の出入りが止まるこの時間帯に。何テイクか重ねます。
15:00
照明シーンの切り替え・静止画
昼と夜の2パターンを撮る場合は、ここで設備担当者に切り替えを依頼します。ドローン静止画もこのタイミングで押さえます。
16:00
撤収・現場でバックアップ
メディアを二重化してから引き上げます。ドローンの実働はおよそ3時間です。
SECTION 05

同日撮影を成立させる
4つの調整

同じ日に収めるには、撮影の2〜3週間前から押さえておきたい項目があります。

撮影現場で打ち合わせをするスタッフ
写真チームと同じ現場で動く日は、立ち位置と順番を朝のうちにそろえておくと待ち時間が出ません。
  1. 施設管理者の許可:屋内飛行は航空法の規制対象外とされており、国土交通省への許可申請は不要です(国土交通省の無人航空機Q&A Q5-4)。ただし「屋内」とみなされるのは四方と上部が囲われている空間で、大きな開口部のあるアトリウムや半屋外の広場は屋外扱いになる可能性があります。いずれにせよ施設の内規による承認は別途必要になることがほとんどです。どの部署が決裁するのかを早めに確認します。許可申請の進め方はこちら。
  2. 養生の撤去タイミング:撮影区画の養生が何日に外れるのかを、施工側のスケジュールで確認します。ここが撮影日を決める起点になります。
  3. 他業者との作業バッティング:什器搬入、サイン施工、清掃が同日に入ると、どちらも撮影できません。工程表でブロックしておきます。
  4. 照明シーンの事前決定:何パターン撮るかで当日の時間配分が変わります。設備担当者の立ち会いが必要かどうかも含めて決めておきます。
飛べるかどうかは、見てから決まります
吹き抜けのクリアランス、鏡面やガラスの位置、吊り物の有無は、現場に立ってみて初めて分かる部分が大きいところです。事前のやりとりはあくまで見立てで、最終的な飛行ルートは当日その場で判断します。撮りたい画の優先順位だけ決めておいていただければ、あとはこちらで組み立てます。
そのため、事前のロケハンは基本的に不要です。出演者やスタッフが10名以上入るような、人の動きを事前に詰めておく必要がある撮影に限って別日に下見を行っています。
SECTION 06

費用の考え方

竣工写真の料金は、建築写真を専門に扱う撮影会社が公開している料金表を見ると、住宅やリフォームで6万円前後から、商業施設・ホテル・集合住宅で20万円前後から、大規模物件では30万円前後からというレンジが目安になっています(いずれも夕景撮影を含む場合)。これに館内の映像を加える場合、別の日に発注するか同じ日にまとめるかで総額が変わります。

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写真会社の「ドローンオプション」との違い
建築写真の会社でも、オプションとしてドローン空撮を5万円〜、ドローン動画を10万円〜といった形で用意している場合があります。こちらは主に外観の空撮で、建物の全景や周辺環境を押さえる用途です。館内を一本撮りで通す映像とは撮れるものが異なるため、外観だけで足りるのか、館内の体積まで記録したいのかで選び分けるのが実際的です。
項目同日にまとめた場合別日に分けた場合
撮影費写真+映像写真+映像(同額)
交通費・機材搬入1回分2回分
立ち会い工数1日2日
施設との調整・許可1回2回
空間の状態完全に一致什器・照明が変わる可能性

DRONE UNCHARTED の館内ドローン撮影は、撮影1日・編集済み映像1本+ドローン静止画で35万円からです。内訳の考え方はFPVドローン撮影の料金相場の記事でも解説しています。

SECTION 07

よくある失敗と回避策

CASE 1

引き渡し後に映像を撮ろうとしたら、什器が入っていた

竣工写真は無事に押さえたものの、映像は「予算が確定してから」と先送りに。2週間後に現場へ入ったときには、ロビーに受付カウンターと植栽が設置され、吹き抜けを抜ける動線が塞がれていました。

回避策:映像の要否は、撮影日を決める段階で判断する。予算が未確定なら、最低限の一本撮りだけでも同日に押さえる。
CASE 2

照明が運用設定に切り替わり、写真と見え方が揃わなかった

竣工写真は竣工時の演出照明で撮影。後日の映像撮影時には省エネ運用の設定に変わっており、同じ空間とは思えない色味になりました。作品集に写真と映像を並べたときに違和感が出てしまいます。

回避策:照明シーンの設定値を竣工時に記録しておく。同日に撮れば、そもそもこの問題は起きない。
SECTION 08

発注前チェックリスト

  • 養生が外れる日と引き渡し日を確認した
  • 撮影日に他業者の作業が入らないようブロックした
  • 施設管理者の承認ルートと決裁者を確認した
  • 平面図・断面図を撮影会社に共有した
  • 撮りたい区画と、その優先順位を決めた
  • 照明シーンを何パターン撮るか決めた
  • 写真班と映像班の進行役を決めた
  • 納品形式(映像の尺・静止画の解像度・使用許諾の範囲)を確認した
SERVICE

館内ドローン撮影のご案内

設計事務所・内装・ディスプレイ会社・ゼネコン・デベロッパー向けに、竣工写真と同じ日に館内をドローンで記録するサービスを提供しています。用途の異なる約5種類のドローンを空間に合わせて使い分け、地上のカメラは一切使用しません。

館内ドローン撮影|ホテル・アリーナの竣工映像 を見る

撮影の作例

どのような映像になるかは TOYOTA ARENA TOKYO、金沢21世紀美術館 の事例ページでご覧ください。

掲載している事例は撮影内容をご覧いただくための作例で、料金とは対応していません。費用は撮影日数・飛行する区画の数・映像の尺・照明シーンの数などによって変わるため、案件ごとに個別にお見積りします。

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発注の進め方(誰の予算で撮るか、見積の比較、権利の取り決め)については ホテルの竣工記録映像はどう発注する?、アリーナや大型商業施設のように規模が大きい場合は アリーナ・大型商業施設の館内ドローン撮影|許可・電波・安全の実務 で整理しています。

FAQ

よくある質問

Q. 竣工写真のカメラマンは別会社ですが、同じ日に入れますか。
A. 問題ありません。むしろ一般的です。当日の朝に区画の順序をすり合わせれば、お互いが入っていない区画で並行して進められます。事前に写真側の進行表をいただけるとさらにスムーズです。

Q. 館内でドローンを飛ばすのに許可申請は必要ですか。
A. 屋内飛行は航空法の規制対象外とされており、国土交通省への許可申請は不要です。ただし「屋内」とみなされるのは四方と上部が囲われている空間で、大きな開口部のあるアトリウムや半屋外の広場は屋外扱いになることがあります。加えて施設ごとの内規による承認は別途必要になることがほとんどで、実務上はそちらの確認が本番です。

Q. 引き渡しが終わってからでは撮れませんか。
A. 撮影自体は可能ですが、什器の搬入やサインの設置が進むと飛行ルートが塞がれ、竣工写真と同じ空間としては記録できなくなります。営業開始後は閉館時間帯のみの撮影になるため、費用も日程も厳しくなります。

Q. 写真も一緒に頼めますか。
A. ドローン視点の静止画(吹き抜けの俯瞰、高所からの見下ろし)は標準で納品しています。地上からの竣工写真については、既存のカメラマンと並行して進める形をおすすめしています。

Q. ガラスや鏡面が多い空間でも飛ばせますか。
A. 飛行は可能です。当日その場で、飛行させない範囲を見極めたうえで撮影します。十分な距離が取れない箇所は、より小型の機体に切り替えるか撮影範囲から外します。

Q. 撮影から納品までどれくらいかかりますか。
A. 初稿は撮影から10営業日前後を予定しています。修正2回まで無償で、使用許諾書を添付して納品します。

小林 佑誠

この記事を書いた人

小林 佑誠DRONE UNCHARTED 代表 / FPVパイロット

DRONE UNCHARTED 代表。2017年に映像制作の技術を学び、映像制作会社で4年半のキャリアを積んだのち2022年に独立。2023年から自作FPVドローンの設計・製作に取り組み、2024年にDRONE UNCHARTEDを設立しました。機体を自分で作る立場から、海上・屋内・夜間といった難易度の高い環境での撮影や、照明を搭載した特殊機での撮影を得意としています。Honda、SUBARU、Red Bull、南海電鉄、金沢21世紀美術館、東京都、NMB48などの撮影を担当。東京を拠点に全国で活動しています。

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